この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 


「ねぇ」


 少し横に傾いたモモちゃんの顔。

 さらさらとした彼の髪が零れて、僅かにあたしの頬を擽った。



 それくらいの至近距離から覗き込まれる、まっすぐな瞳。



「俺にして」



 あたしが受けている熱の質が……変化する。



『モモ、モモ……っ、愛してる。愛してるっ』

『はぅぅぅっ、シズ、シズ――っ』 



 あちこちから拡散されて浴び続けた熱が、漆黒の瞳を持ってひとつに凝縮される。



「好きだ。……静流」



 モモちゃんの薄い唇から吐き出されたのは、絞り出したような声。

 消え入りそうなのに、芯だけは残る硬質な声。



 どっくん。


 あたしの心臓が大きく揺れた。



 "静流"。


 やめてよ、あたしのスイッチ入れないで。

 モモちゃんは、モモちゃんでいてよ。


 だけどあたしの願い叶わず、モモちゃんは熱に浮かされたように、やるせなさそうにあたしに言うんだ。


「誰にも渡したくない。……よそ見させたくない」


 泣きそうな顔で。

 必死な顔で。



「俺だけ、見てて」



 そして――。



「いや……見てろ」



 あたしの知らない、"男"になっていく。

 あたしの愛を乞う年下ではなく、あたしを引き摺ろうとする……男に。



「あんたは、俺の女だ」



 それはハル兄にも似ているようで、だけど似ていない。

 きっとモモちゃん自身の成長した姿。


 アダルトナツの視線を感じる。だけど気にならない。


 モモちゃんのストレートさに、どっくんどっくんがとまらない。

 やばい、モモちゃんを意識しすぎてどっくん死しそうだ。


 顔が……熱い。



「はは……、そういう顔が見たかった。これからも、俺を意識して」


 儚げに笑うモモちゃんの覚悟をわかるはずもなく、ただあたしは狼狽えるばかりで。

 そして――。



「ここから先。あんたの世界は俺のものだ」



 あたしの世界から……雑音が消えた。

 そう。モモちゃん以外――。





/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ