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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 
 

 気分は浦島さんちの太郎さん。

 ちょっと亀と遊んで来るわ~と出かけたら最後、憂き世の頭悩ませるあれこれ忘れて、乙姫さんの誘惑に負けてちょっといちゃこらしすぎて、気づいたら――この世は瞬く間に時間が過ぎ去っていて。



「はい、では採点START!!」

 
 静止していた時間が再始動した……というより、まったくの別世界。

 逆に時間を止めたように動きを鈍らせた……、あたしの口の中のくねくね。役目を終えたとばかりひっそりとご臨終になりそうなそれを、あたしは取り出す元気がなく。


 あたしの精神が、あたしだけを取り残した現実世界に追いつかない。


 しかも――。


「おお、上向きが多い? 多い? 多いKA……!?」


 時間に順応できずに色々疲れ切っている自分を、品評されているようなこの居たたまれなさ。


「老齢カップルの9割以上の支持を、超えられるKA~!?」


 ――!!!


「きゅ、きゅ……」

「オバQか? あんたも古いな……」


「ひがうは(違うわ)!!」


 口の中の異物によって、もごもご叫ぶあたし。


 9割ですと――!?


 そ、それをどこに超える要素が……。

 無理、絶対無理……っ。

 大根披露していなかった分まだ救いはあるように思えたけれど、俄(にわか)カップルには、あんな声だけ若々しくてエロエロ熟々年カップルを超える要素はない。

 どう考えても、モモちゃんからの告白演技に思考真っ白だったあたしとモモちゃんに卑猥要素はなく。

 モモちゃんがダークに染まった頃から、誰とは言わないけれど、昔から隣に住んでいるような兄弟の卑猥さに類するような匂いは感じたけれど、実際はただあたしがドキドキして、アラサー身体にかろうじて残っていたピュアピュアぶりを(知らずに)見せただけで終わった10分。
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