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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

 あたしとモモちゃんにLOVELOVEカップルの認定は下されまい。

 くねくねが動いていようとも、それであたしが乱れた艶姿を披露しているのならともかく……。



 ナツ、ごめんっ!!

 しーちゃん、モモちゃんにドキドキして、頑張れなかった!!


 ナツ人形、守れなかった!!

 ごめんなさいっ!!


 しーちゃん、滝に打たれて、一から出直して――。


「……逃げない」


 既に逃走姿勢だったあたしの腕を掴んで、モモちゃんがこちらを見た。

 あたしに熱い言葉と吐息を吐いたあの唇を吊り上げ、とろとろの瞳にあたしを閉じ込めていたあの目を意地悪げに細めて。


 ねぇ、浦島さんちの太郎さん。

 かつて自分が居た世界で自分の存在意義が見えなくなってしまった時、乙姫さんの笑い声…聞こえませんでしたか?


 "ははははは。馬鹿め!"


 一過性だと、ひとときの遊び相手だといちゃこらしていた相手が、その軽んじた待遇に実は憤り、自分に復讐したのだと思いませんでしたか?


 あたし、乙姫さんは演技派でものすごくIQ高いと思うんです!

 詐欺師といってもいいくらい、ピュアピュアぶりを発揮すると思うんです!


 そしてもし。太郎さんが禁断の玉手箱をあけずに、お爺さんになってそのまま消えてしまわない結末であったのなら。太郎さんがその若さのままで後世の世界をさまようことになったのなら。

 仕返しをした乙姫さんは、それをそのままただ笑って終わっていたのだと思いますか? それで復讐は終わると思いますか?


 あたしは、玉手箱はただの罠で、本当は玉手箱を開けない結末を望んでいたんじゃないかなと思うんです!
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