この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
「ハル兄……」
あたしは四つん這い状態で、ハル兄の足を掴んで乞うた。
「欲しい……の、ハル兄の……欲しいの」
欲しくて欲しくて狂いそうで。
「ハル兄だから、今ここで欲しいの――っ」
涙を流しながらハル兄を見上げた。
ハル兄がびくっと体を震わせたのが見えたが、落とされた言葉は非情だった。
「駄目だ」
「ハル兄……お願い。お願いだからここで……」
「駄目だ」
「ハル兄、あたし変になる。狂いそうなの。お願い、ハル兄……っ」
あたしの体が突如持ち上がり、肩に担がれた。
「……変態クソジジイと交わったところでなんて悪趣味すぎんだよ、お前。場所くらい選びやがれ」
「……え?」
寄越された流し目は捕食の帝王。
「いいか、後悔するなよ。あんなに床に垂らすまで、お前は俺を求めたんだ。忘れるなよ? "ハル兄だから"って言ったこと。お前はナツの代わりではない俺を求めたんだからな。
担当医である俺は、そこまで泣き叫ぶお前の異常事態を見過ごすことが出来ず、これから緊急的に"応急処置"を施す。
……言っておくが、俺の治療は優しくねぇぞ」
担当医らしからぬぎらぎらとした欲情を隠そうともせず、彼は接触にて体を捩らせるあたしを、妖艶な面差しで見る。
ハル兄のオスの香りが鼻孔一杯に拡がり、くらくらする。
噎せ返りそう――。
ハル兄の、迸るような野生の艶に。
体が期待に、じんじん甘く疼く。
「お前が……焚きつけたんだからな。折角、俺が"現実逃避"グッズで我慢してやろうとしてたのに……」
一瞬――。
憂いある漆黒の瞳によぎったのはなんだったのか。
「……愛だと勘違いすんなよ、シズ」
ああ、そんなことどうでもいい。
ハル兄があたしを抱いてくれるなら。
ハル兄がその気になってくれたのなら。
愛情なんてなくてもいい。
治療だけでいい――。
荒々しく……あたしを抱いてくれれば。
「俺のものに手を出した……あの忌まわしいクソジジイの痕跡なんて、一瞬で消してやる。
――ナツではない、この俺がな」
帝王様が不敵に笑った――。