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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
「……なわけないよね。ああ僕……。とうとうしーちゃんの幻影が見えるまでになってしまった……」
ああ、げっそりとしていても、頽廃的な美貌を際立たせた王子様から、大量に流れるこの艶香。
はだけたガウンから立ち上るこのフェロモンは、凄まじい。
爽やかさなどない、ただのエロ王子だ。
だるだるとした倦怠感が強ければこそ、情事の名残を漂わせ、ナツの仕草ひとつひとつがたまらなくいやらしく、ドキドキする。
強化合宿内容が内容だけに、ナツの活力は艶に変わったのだろうか。
ナツは大人の階段を上がっているのだろうか。
よろよろとナツがあたしを横切って風呂場へと赴く。
幻覚だと決定されたあたしは、無視されたようだ。
よろよろ、よろよろ……。
「ナツ、大丈夫!?」
「しーちゃんの声まで聞こえて来ちゃった。ああ、あんなに連続して大量に抜いたのに、駄目だな僕。反応してきちゃった」
……なっちゃああん。
ナツは不元気でも、ナツの息子は元気らしい。
若さって恐い。
とにかくなんだかふらふらとして危ない気がするから、ここはきちんと意識をしっかりさせようと、あたしはナツの手を引いて訴えた。
「ナツ、あたしは幻じゃなく本物……」
「ああ、本物だっていう幻になってきちゃった。ああ、しーちゃん……。会いたい……。いちゃいちゃして、本物に挿れたいよ……」
余程精神に応えているらしい。
本物はぽいと腕を外された。
「しーちゃんと別れてから、20回連続発射。トータルしたら、何回抜いたんだろう、僕。あの"館"並みのハードさ……。ああ、今だったらしーちゃんの"お食事"も味気ないだろうな……。オンナゴコロを掴むのは、テクニックと味なのに……。ガンバレ、僕。早くイカなければいいだけだ」
な、なんか……。
「"しーちゃんもどき"相手に3回に1回の成功率。早漏克服となったのかなぁ……。だけど本物のしーちゃんの下のお口は本当に気持ちよすぎて凄いって波瑠兄言ってたし……。はぁ、魅惑のイソギンチャクか。波瑠兄に並ぶには、やはり100%の克服が必要だよな……」
ナツに申し訳ない気分になってきた。
……あたし、聞かない方がいいかもしれない。
とりあえずナツがお風呂入ってしゃんとするまで、あっちにいよう。