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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

 やばい。

 やばすぎる。


 腹上死の前に淫魔さんが食べてしまうかもしれない、跡形もなく。


 ぶるぶる…!! 


 それは駄目だ、絶対駄目だ。


「ナツどん、すべては目覚めてからぜよ。話せばわかる!!」


 さあ、日本を変えようとした大和魂、目覚めよ!!

 あのパワー、ここに集え!!


「うふふ…。しーちゃん丼。おいしそう…」


 大和魂が発揮しないのは、あたしがナデシコではないからか、日本を変えられるような人間ではないからか、淫魔だからか。

 さらには、今この場は、話がわかる状況ではないらしい。


「いただきます」


 口をぱくぱくさせて覆い被さってくるナツを、必死に下から手で押して遠ざける。あたしの腕が過剰の筋肉疲労でひくひくしているのが分かる。


「食べるな食べるな、淫魔はおいしくないっ!! このままなら弱っているナツを、淫魔さんの方がぱくっと食べちゃうから!!」


「隅々までおいしく食べて~」

 お前は、真性ドMか!!


 ナツは笑顔で、はだけきった服を脱ぎ始める。


「全部脱がなくていいから!! 特に下を見せなくていいから!!」


 いや、そそり立つ下半身を喜んであたしの顔に近づけようとするのは、ただの変態か。うん、ただの変態だろう。


「どうして僕を拒むの……? こんなにしーちゃんが欲しいと言ってるのに、僕達親子……」

 ナツが悄げれば息子も悄げる。


「しーちゃん……。全力で拒否られたら、哀しいよ……」


 ナツがあたしの身体に抱きつくと、あたしの身体を持ち上げ、あたしをソファに凭れさせるように座らせ、ナツは床に傅くように膝立ちになって、胸の間に顔を埋めてきた。
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