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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 
「しーちゃんの心に、僕がいないの……? 僕に抱かれたいと……思わないの?」

 震える声を漏らす。

 その数分前に抜け目なく素早く、服の下に頭突っ込もうとしたのは、襟首掴んで引っ張り出して回避したから、さらに涙声になって服の上からぎゅうぎゅうに顔を押しつける。


「波瑠兄を……選ばないで……」


 まるで譫言のような半泣きのその声に、押し潰されたあたしの胸の奥がぎゅっと締め付けられる。


「僕を選んでよ……。ねぇ……図書館で、僕が欲しかったんでしょう? あの時の心を思い出して……」


 駄々っ子のように、胸の谷間にあるミルクティー色の髪が視界で左右に揺れた。

 ……ちなみに、12年眠っている間にナツに育てられたDカップとはいえ、頭を振るナツの頬にパチンパチン当るほどのボリュームはない。滑るだけだ。


「……しくしく……。起き上がっているのに……男の夢…」

「お黙り」


 ぺしん。


「しくしく……」


 仰向けで寝ている状態より胸のボリュームあるだろうと、勝手な妄想を夢見ていたに違いない。

 そんなにお胸が欲しいなら、ハル兄に言ってあのホラーチックな巨乳漫画を見ておくれ。

 しかしハル兄も、ロリコンのくせに巨乳好きとはこれいかに。


「僕を見て」


 ナツが今度はお股に顔を埋めようとしたから、その顔を無理矢理上げる。

 重いわ、この漬け物石!!


「僕だって……しーちゃんだけを見てきたんだ。しーちゃんが好きで……、手作りのしーちゃん人形使って、初めて僕……」


 そして言葉を切って、ナツは恥じらうように俯いた。


 勿論おまたにGOの勢いのため、あたしは足を組んで弾いたのだが、滑り落ちたナツはしくしくしながら、欲求不満とばかりに太腿を歯でかぷかぷする。

 ……ほんのり痛みが気持ちいい……なんて思わないもん!!

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