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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

 だが、それより気になるのはナツの言葉。


「あたしの人形で、初めてなに?」

「……言えない」


 なんでそこで足から離れて、赤らめた顔を背ける?

 変態王子が赤くなることとはなに?


「気になるじゃないの、なにをしてたの!?」

「気になるの?」

 質問を質問で返されて。おまけに色気満載の上目遣いを向けられ、不意打ち攻撃をうけたあたしはくらくらとしながら頷く。


「だったら、しよ? 気になるなら……しよ? 気になるんでしょう?」


 色気攻め、泣き攻め、弱点攻め……、今度はこの手できたか!!


「静流」


 とろりとろとろの蜂蜜をまぶしたような瞳。



「しよ……?」


 こんなに可愛く、こんなに妖艶に、自分を抱きたいと求められて、微塵にも心動かない女性がいるだろうか。

 だけどナツの命がかかっている。

 青白い顔色で、こんなにげっそりしているのだから、体力を使わず大人しく眠っていて欲しい。


 さあ、シズル。

 心をトゲトゲにして、ナツを拒みきってしたい気分を薄めて眠らせろ。


「気にならない」


 ここは毅然と!!


「気になるでしょう?」

「ならない」

「僕がしーちゃん人形で、初めて僕……」

「だからなに!!」

「気にならないんじゃないの?」

「気になるに決まっているじゃない!!」


 ……あ。

 
 ナツの満足そうな笑顔。

 本当に意識朦朧としているの?


 改めてじっくり見るココア色の瞳は、やはり生気がない。


「僕を……しーちゃんのナカで男にさせて?」

「ちょ……重いです、ナツさん!!」


 気づけばソファの上で覆い被され、割られた足の間にナツのモノが押し当てられる。下着越しぐっと押しつけられる。

「分かるでしょう、僕の。僕を……イカせて? 偽物じゃなく、しーちゃんのナカで、狂ってしまうほどに強く、感じたい」


 体力ないのに、眠れない程に性欲満載。

 こんな時あたしはどうすればいいんですか?

 爆弾抱えたような身体で、ナツの性的衝動を抑えるのが筋?

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