この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
「しーちゃん、いい?」
だとしたら"俺様"しかないじゃないか。
「駄目ぇぇっ」
キングコング帝王の声、さっき聞いたばかりだよ。もういいよ、いらないよ。あのひとすぐGORAAとなって怖いもん。
いや、それよりも。
ハル兄はお仕事だから邪魔してはいけない。
もしかしてハル兄ならなんとかしてくれるかもしれないけど、ハル兄に頼ってはいけないんだ。
「しーちゃん、一度いっちゃおうか。その後僕の挿れて奥までずんずんしたら、凄い快感だよ、きっと」
カチカチカチ。
ナツのを最奥で迎えたいと、淫魔が喜んで鍵を解いている。
ああ、このままじゃ……。
葛藤している思考とは裏腹に、あたしの指は無意識に電話をかけてしまっていたらしい。
『……俺だ』
果てが近いその中で、無意識で求めた低い声が聞こえて、あたしは涙が出そうになった。それだけで心が緩んだ。
この人はいつもあたしを助けてくれる。
やっぱりどうしていいかわからない時に頼るのは、ハル兄だ――。
「……あ、あたし……」
ハル兄、ハル兄。
どうかあたしを助けて下さ……。
『振り込み詐欺なら、他に当れ』
ぶちっ。
数秒で通話終了――。