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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

 そんな時、あたしが手にしたままのスマホが揺れた。

 画面に出ているのは、"俺様"。


『……俺様だ』


 登録名通りを名乗る低い声。

 勝手に切ったくせに、なんてふてぶてしい。


「オレオレ詐欺は受け付けておりません」

『あ゛!?』


 ……駄目だ。帝王様の真似はできない。


「い、いえ……何用ですか」

『こっちのセリフだ。サクラから聞いている。お前ナツといるんだろう? なんで電話する』


 モモちゃん、ハル兄と連絡取っていたらしい。

 あたしには、連絡絶っているくせによぅ!!

 それにハル兄、あたしだとわかっててぶちりってしたじゃないか!! 普通理由を述べて謝るとか……しないな、帝王様だもの。

 まあ、いい。

 そんなことよりあたしは今困っているんだ。

 あたしより頭のいいひととお話出来るのなら、使わない手はない。


「ハル兄。ナツの弱点教えて!!」

『弱点はお前だろ』

「そのあたしが襲われているの!! ハル兄は可愛い弟の腹上死や、淫魔に消される結末をお望みなんれひゅか!?」


 ……しまった、口が回らなかった。


「……」

『……』


 ハル兄からは返事がない。きっとナツの危機に、こんな些細なことに気づく余裕すらないのだろう。ブラコンで助かった。……ロリコンの巨乳好きでもあるけれど。


『あのさ……』

「はい?」


 帝王様のアドバイス、この愚民はしかと頂きます。

 さあ、知恵をお授け下さい。


 スマホ片手に、便器の前に土下座したあたし。

 返ってきたのは――。


『"なんれひゅか"って何だよ、お前』


 ……帝王様は聞き逃さなかった。そこは今どうでもいいところだから!!
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