この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
その時だ。
「なに、なに、なに!? 今度はなに!?」
詰まったペーパーが、今度は水流と共に勢いよく上に飛んだのは。
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
大噴水だ。
驚いたあたしは、慌てて蓋を閉めたのだが、その蓋を開け放つ程の勢いの強さ。悲鳴を上げて逃げるあたしは、それが直接降りかからないトイレの片隅で壁の一部と化し、もうどうしていいのかわからないパニックに、震えて固まる。
淫魔、吹き上がるペーパーに怯える。
涙は止まったのに、それ以上の水浸しとはいかに!!
ドンドンドン!!
「しーちゃん、どうしたの!?」
ドンドンドン!!
ただいま、しーちゃんは妖怪"ぬりかべ"です。
ひとつ間違うと"ぬれかべ"です。
あ、ちょっと前までナツに触られて濡れ……。
「くふふふ……」
ああ、思考が頽廃して、卑猥な奴らに仲間入り。
どうすればいいのかわからず、とりあえず笑って現実逃避。
ドカッ。
「大丈夫か、静流!?」
ドアが蹴破られたようで、ナツが勇ましく入ってきた。
その凜々しい姿に、どきんと、心臓が跳ね上がった。
こんなアラサー淫魔を、おこがましくもお姫様にたとえていいのなら、お姫様の危機に助けに現れるのは、童話通りの麗しの王子様……。
「王子様、あの怖い噴射のお化けをなんとかして……」
――止まったのは一瞬だった。
「もぅ、なんでウォシュレット強度、最大にしてるの?」
ナツの人差し指だけで、壁のボタンを押すとそれは消え。
王子様……。
「だけどよかったね、う○ちが流れた後の噴射で。そうじゃなかったら大変だったよ?」
笑顔の王子様……。
「それでも…ふふ、可愛いな。なんか初々しくて」
せめて姫を助けにくるのなら、お洋服を着て上向いている息子さんを隠してご登場願います。
すっぽんぽんは、ちょっといただけません。