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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美


 ナツの指が思いきり気持ちいい。

 頭皮にあるツボをすべて弄られている感じで、全身の血流がよくなってきた感じだ。なんだか今なら宙に羽ばたける気すらしてくる。

 この器用すぎるゴールドフィンガー、マッサージ師にも転職できそう。


 ナツの胸に凭れかかるような格好で、素晴らしい指技施術を受けるあたしは何様なのかとも思うが、これはやみつきになりそうだ。
 
 なんだかこのまま眠ってしまいそうで、あたしも下からナツの頭を洗うことにした。こういう時二の腕プルプルが祟るが、修行だと思って頑張る。

 ……まあナツが微笑みながら、あたしの二の腕が負担にならない体勢にしてくれたおかげで、修行する必要なかったけれど。


 あたしを見下ろすナツがにやけている。


「どうしたの?」

「なんだかお嫁さんになった気分で」

「誰が?」

「僕」

「ねぇ、本当にナツがなりたいのはあたしの夫じゃなくて嫁なの?」

「うん」


 笑顔で断言するナツは、やはりあたしの嫁になりたいらしい。

 あたしの嫁になったら、お料理など家事全般だけではなく、こうやってマッサージしながら洗髪して貰えるのかなと思えば、健気な献身嫁にナツを迎えることを本気で考えてみようと思った。

 まあ、今はそれより……。


 ナツの髪が白くなって、小人さんみたいなとんがり帽子みたいな形にしてみても、美麗な顔立ちは崩れることなく、どんな髪型でもナツは綺麗だ。

 悔しいほどに。

 どこをどうしたらあのハナタレデブの面影を消せるのか。

 ……あの顔はあれで可愛かったのだけれど…。



「ふふふ…。ナツのミルクティー色の髪の毛が、泡々になっちゃった。珈琲で言えばカプチーノみたいな、泡がのっているミルクティーってなんて言うの?」
 
「ロイヤルミルクティーだよ」
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