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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
泡立ったスポンジを、あたしの身体につけるナツ。
ナツのことだから、もっといやらしい洗い方をされるかと思っていたあたしにとっては、あまりにも普通すぎて毒気を抜かれるほどで。
「ふふふ、すごい泡立つね。しーちゃんヒツジさんみたい……。そうか、ヒツジはSheepだから、しーちゃんだ」
なにやらひとり喜ぶナツが触れるところがモコモコ泡立ち、あたしは瞬く間にヒツジになった。……一部を除いて。いや、一部ではなく二部か。
「ではモコモコヒツジのしーちゃん、僕を洗って下さい」
無防備に両手を出してにこりと微笑むナツ。
「あ、あの……完全モコモコではないんですが……」
モコモコになされていないのは、乳房と秘部。
わざとらしいくらいに、そこだけ白さがない。
「そこは、僕がモコモコになってから丹念に洗います」
「い、いや。それなら自分で」
「僕が洗います!!」
ナツのほっぺがぷくりと膨れた。
「と、とにかくナツを洗うね……」
そう、ナツの手の中のスポンジを取ろうとしたら、遠くに放られた。
「なんでスポンジなの?」
「え?」
「しーちゃんヒツジがスポンジだよ? さあ僕を泡立てて?」
ナツは妖しい笑みをあたしに見せて、両手を拡げた。
「しーちゃん、泡がついてない」
「しーちゃん、洗い残しがある」
ナツはスパルタだ。
あたしが手でナツの身体を触るのは駄目らしい。
「もぅ……、見本見せるから!!」
ナツはあたしを膝の上に乗せて、ぎゅっと抱きつくとそのまま身体を上下に滑らせた。
「や……ぁっ」
ぬるぬるとした泡の滑り具合が、まるで潤滑剤のようだ。今までに無い滑らかな肌の感触は、まるで沢山のナツの舌で同時に愛撫されているかのような、快感をもたらした。
それなのに、泡のついていないあたしの乳房は滑りが悪いために、その差が胸の蕾にもどかしい疼きを生じさせて。いずれそこも泡にまみれるだろうが、問題はそのタイミングだ。快感のずれは、単調な動きに変化をもたらす。
「さあ、しーちゃん。好きなように動いて、僕を洗ってね」
快感の遅延を戻したいと、無意識に滑らせる身体の動きに制御がきかない。
なぜ、あたしの敏感な部分にだけ泡をつけなかったのか、わかった気がした。