この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 
 

 そして――。



「しーちゃああああん!!」


 ハリウッド映画顔負けの、派手な別れのシーンが、目の前に繰り広げられている。

 まるであたしは、客観視を強いられる監督気分。

カメラ、照明、主役のアップの角度よーーし!!


「しーーーちゃあーあああん!!」


 いいねぇいいねぇ、その悲哀の表情!!

 しーちゃんぞくぞくしちゃうねぇ!


 ……衆人環視の中、注目を浴びている主役は、勿論あたしじゃない。

 場所はホテルの外、エントランスの車寄せの部分。

 そう、一番人の動きが激しい場所にて、ピカピカに磨かれたホテルのエントランスのガラスの壁を背に、帰り支度を既にすませたあたしとモモちゃんは、荷物を足元に置いて、地味な脇役そのAとBに徹して立っている。


 主役は――

 難関大学在学中の、現役モデル。


 兄譲りのクールな表情と獣みたいな目で、挑発とかしちゃうポスター撮らせるくせに、今では両目から大粒の涙をぼたぼたと落している。

 普通に微笑めば、甘い甘い夢の王子様。……端から見れば、ナツが女子力高い変態さんだということはわからないだろう。


「しぃぃちゃあああん、またねぇぇぇ!!」


 余程、別れが悲しいのだろう。

 緩やかに動き出した……ピッカピカの黒塗りの自動車の後部座席から、上半身を完全に外に出して、大きく大きく、小さくなってもさらに大きく、あたし達に手を振った。


「下のお口さぁぁん、またねぇぇぇぇ!! 今度は一番奥までお邪魔するから、僕と一緒に、イこうねぇぇぇぇぇ!!」


 大きな声で、涙混じりに訴えたその願いはきっと切実なのだろう。意味がわかれば卑猥だが、聞き様によっては、下野小口しーちゃんと再会を願っているようにも思えるこの不思議。

 彼がこの施設やホテルで、どれだけ期待値を高めていたのかがわかるだけに、成果ないまま去らねばならないナツの多大な悲しみに、思わず貰い泣きしてしまう。
/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ