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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
「いいから走れ!」
腑に落ちないものを感じながらも、問答無用で身体を半回転させられ、即強制ダッシュ。
ハル兄に、何度もスタートダッシュをさせられていたことを思い出す。あれがあるから、今がある。記憶が薄れても、身体はあの感覚を覚えているらしい。筋力が落ちていない現役だったら、もっと記録的なスタートダッシュが出来ただろうに。
走る
走る。
サバンナの帝王にカウントダウンされていた時のように。
唸れ、あたしの足!!
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「声に出さないでいいから!」
勇みすぎて声に出してしまったらしい。
よし、直線捕えた!!
加速装置、点火!!
「違う、そっちじゃない、こっち!!」
モモちゃんに腕を引かれて、不発に終わったあたしの足は宙を駆けるようにして、垂直に曲がった。
走る
走る。
「モモちゃん、挟まれた!」
するとモモちゃん、
「なんですと!?」
突如壁を横に走り出したのだ。
……と思うと、片足で壁を大きく蹴った反動を使い、速度をつけて男達の前に飛び出ると、そのまま着いた片足を軸にして、屈強な男の首筋を豪快な回し蹴り。
長い足はそれだけに留まらず、素早い蹴りの動きで相手を攪乱させ……モモちゃんが飛び跳ねるようにしてあたしの元に戻って来た時には、男達が互いの足を絡ませたように、ばたばたと倒れている。
「今のうち!!」
あたし達は、男達を踏みつけて先に進む。
人生初だ。男達を踏みつけて頂点を目指すのは。