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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
「凄いよ、モモちゃん……さすがは副総長さんだね。いつだったかハル兄かナツが、族で喧嘩を禁止した平和主義のモモちゃんは、実は喧嘩も強いと言っていた気がするけれど、まさか忍者走りも出来るとは!」
「ああ、これは佐伯母直伝だ。俺の戦いの基本は、佐伯母だから」
なんと!!
佐伯母、ここでも暗躍か!
「おばさま……あの卑猥兄弟だけではなく、モモちゃんをも鍛えられるなんて。一体何者!?」
「ああ、佐伯母の先祖はニン……」
「ニン!? 忍者なの!?」
「いけね…。この件は忘れてくれ。他言してはならないのが約束なんで」
「モモちゃん、そんなに気になること言われたら、忘れられるわけないじゃないの。佐伯のおばさまは、忍者なの!?」
「ノーコメント」
「モモちゃん、こっそり教えて? おばさまのあの凄まじい動きは、忍者ゆえに!?」
「さあ、どうでしょう」
「モモちゃん!!」
騒ぎながら走る、走る。
モモちゃんに先導されるがまま、途中で階段を駆け下りて。
そして出て来たのは――
「え、ここ……!?」
ひんやりとした地下駐車場。
駐車場とは思えないほどの凄く巨大な空間で、碁盤の目状に拡がる車道は、道幅が横に車二台分くらいはゆうにありそうだ。ここには先客はいないようで、閑散としている。
待て待て待て。
これはやばくないか!?
地下駐車場なんて、複数に別れて行動している敵の思う壷じゃないか!?
足音があちらからもこちらからもする。
駐車場に出られる口は、たくさんあるらしい。
それはつまり、また人が多いホテルの内部に戻ることが出来るという意味でもあるが、それを塞がれてしまえば、ここから出られないということでもある。