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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
だが、モモちゃんは身を隠したまま動かない。
ただ一点を見つめ、そしてカウントダウンを始めたのだ。
「5」
「ご? モモちゃん、来るよ、来ちゃうよ!! 逃げよう?」
「4」
「よん? 数数えている暇ないって!! あわわ……皆がこっちに向かってくるよ、手をぼきぼきしてるよ」
「3」
「モモちゃん!!」
「2。騒ぐな。あと少しで……」
「はあああ、駄目だ。囲まれたよ、モモ……」
「1!! 出るぞ」
「へ!?」
突然あたしの手を引っ張るようにして立上がったモモちゃん。
沢山のサングラス姿の男達とこんにちは。
……なんて、和やかな自己紹介タイムじゃないよ。
「捕まえろ!!」
誰かがそう叫んだ時だった。
ブロロロロロロロ!!
凄まじい爆音を響かせて、猛速度で走ってくる車があったのは。
なに、あれにあたしを入れ込もうとしてるの!?
そうは問屋はお……。
「シズルさん、乗るぞ!!」
「の、乗る!? へ、あ、ひぃぃぃぃ!?」
暴走車は男達をはね飛ばし、あたしとモモちゃんの前に横になったと思うと、自動的に開いたドアに、モモちゃんはあたしをおっつけるようにして、車の中に入ると、ドアがまた自動でしまった。
「ふ~、セーフ…」
胸を撫で下ろすモモちゃんの横で、あたしは奥の窓に顔をぶつけ、アウチ!!
「おいこら! 窓に手形つけるなよ」
いやもうついちゃっているんですけど…あたしのほっぺの痕も…なんて、そんなことを返している場合じゃない。
その声は――。
「へ、へ!?」
「俺様の車で屁をしたら許さねぇ」
運転席に座っていたのは――。
咥えタバコをしているサバンナの帝王だった。