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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 

 そんな中、元凶のハル兄が何事もなかったように、話題を戻した。

 即ち、アダルトナツも淫魔だと、ハル兄が言える理由について――。


「今までお前が居たレジャーランド。そこから女が5人も同時に病院に搬送された話を知ってるか?」

「え……」


 そしてあたしは思い出したのだ。

 クイズ大会時、ノーパンをなんとかしたくても、人で混み合って行くことが出来なかった更衣室。

 そして大会終了後、淫魔を虐める拷問具である…更衣室のマッサージチェアで、恐怖の体験をして震えていた時、その拷問具でぶるぶるされているおばさま達の世間話に出ては来なかったか。


 5Pだの、シモのオツユなど……

 ……やばい、それしか思い出せない。


「病院に搬送時、すべての女達はミイラのように骨と皮になっていたそうだ。外傷はないのに、血液がない。そしてその女達は、病院内で消えたそうだ。正しくは、風化だ」

「なにそれ! ホラーじゃない!!」

「そう、ホラーのようなことが起ったのは、今だけじゃない」


 ハル兄の後を、モモちゃんが受ける。


「過去に5回、同様なことが"猟奇事件"として迷宮入りになったり、不可解な伝染病として処理なされている。今回を入れて総勢34名が、最後には風化して死んでいるんだ。

どの事件の被害者も繋がりはなく、そのどれもを結ぶ共通項は、性交をした名残があったということ。身体に残る精液は、現場で確認できても検査の時点ではもう風化されて、結局誰のものかはわからない。共通項はそれだけじゃない。それら付近に、いつも片倉がいるんだ。イベントだの出張だの…」

「ちょっと待ってよ……。アダルトナツが、そんなことをしでかしたというの? そんな大量にミイラにして死なせるのが、淫魔だと!?」


 あたしの声は段々と荒げられていた。

 冗談じゃない。

 それならば淫魔は、人間を殺す化け物じゃないか。


「ハル兄! 淫魔は病気なんでしょう!? Sホルモンのせいだと、そう説明してくれたよね!?」

「ああ、そうだ」

「だけど今の言い方じゃ、淫魔は化け物扱いだよ!? あたしも、そうだと言うの!?」
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