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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
  

「アホタレを喜ぶアホタレめ。話戻すぞ。片倉は、なにかの意図をもってお前に近づいている。そのキーとなると思われるのが、『妖夢奇譚』だ」



「『妖夢奇譚』?」


 ハル兄が答えてくれた。


「ナツの大学の図書館にあったんだろう? 赤い表紙の冊子。お前のお袋さんを含めて、歴代の淫魔が書き記しているという……」


 あ……。それを目当てで、葉山家に荒されたのでは…というものね。



「で、サクラ」


 帝王様から名指しを受けたバトラーモモは、キラリと光る眼鏡を、右手の人差し指でくいくいとして、質問もされていないのに得意げに答えた。


「結論から言うと、やはり篠田教授の元にあるようです。大学の監視カメラの記録をハッキングして、彼が持ち去る処を確認しました。それ以降彼は大学に来ておりません。そして彼が投稿していたと思われる、出会い系SNS内での日記に、最後に書かれていた一行……」


 『永遠なる愉悦を与える存在に、明日会う』


「それきりSNS内での活動はされておらず、さらにリアルでの実際の彼の行方も不明。今、妊娠中の妻から捜索願が届けられているようですが、警察で捜査はされていません」

「理由は?」

「上層部からの圧力のようです。彼の捜索願は、上層部の力で握りつぶされているようです。サーバから"解決済み"として処理されてました」

「処理されてましたって、警察のデータを、なんでモモちゃんわかるの!?」


「シズ。サクラのハッキングの腕を見損なうな。警察内部の厳重に守られたネットワークを破ったんだ」

「へぇ……」


 頭が回らない。凄いことはわかるけれど。

 モモちゃんも胸を張っていることもわかるけれど。


「現在篠田教授も『妖夢奇譚』も行方不明。以上、ここまででシズ質問は?」


 あたしは元気よく手を上げた。


「篠田教授って誰ですか?」


「「今さらかよ」」


 ふたり同時のツッコミが入った。

 ひゃ~、やはり言わないでおけばよかった。


 誰よ、篠田教授って。

 ハル兄も知っているひと?


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