この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
非情なハル兄は、ハンドルの上に突っ伏したまま、また前方を見つめている。今まであたしに向けていた、あの熱が籠もった瞳が嘘のよう。その瞳にあたしを映そうとしない。
「ハル兄……っ」
ハル兄都合で突然に突き放されたこの理不尽さに呼応するように、中途半端で放置された秘部が、じんじんと疼いて切なくて切なくてたまらない。
寂しいよ、途中放置しないでよ!
かといって、こんな人の目がある中、しかも隣にハル兄がいるのに、ひとりでなんて出来ない。
不覚にも前にしてしまったのは、サックスを吹くハル兄があまりに格好よすぎたその興奮の名残。衝動的なものなのだ。
我慢しろ。
我慢だ、シズル!!
そう思っても、視界にハル兄が見えると、たまらなくなるんだ。
あたしの身体は、ハル兄に覚醒させられ、発情している。
男を感じさせるあの指で荒々しく、あたしの花園を最後まで散らして欲しい。あの肉厚な唇で愛でて欲しい……。
「ねぇ、ハル兄……っ」
たまらず、甘ったるい声を出してしまった。
……あたしはいつから、おねだりする女になってしまったのだろう。
理性がどこかであたしを窘(たしな)めるが、それ以上に…立て続けに触られた、細胞まで侵されるようなハル兄の感触が消えないのだ。
そっぽを向かれると、ますます切なくて仕方がない。心も体も。
「ハル兄ってば!」
ハル兄の身体を手で触ると、ハル兄はハンドルに突っ伏したまま、その目だけをあたしに向けて来た。
その直線的な痛いくらいの視線に、あたしの身体がざわめく。
視線で犯されている気分になる。
喉の奥がからからになってくる。
変な声が出そうになる。
欲しい、欲しい……。
ハル兄が欲しい。