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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました

 
 プップー。


「……墓穴、掘った」

「……っ?」



 プップー。



「俺の方が、頭がいっぱいになっちまったじゃねぇか」


 ちゅっちゅちゅっちゅと啄む様なキスに変えてくる。

 一般的には可愛らしい軽いキスなんだろうが、ハル兄がすると細かく食われているような気分になってくる。


 そこが興奮するのだ。すべてを蹂躙された気になって。


 そして――。


 プップー。



「ああ、うるせぇっ!!」



 ハル兄は唇を離すと、車を急発進させた。



「……くそっ、俺が煽られるってなんだよ」


 
 車はスピードを出した。

 まるで切羽詰まっているかのように。


 ハル兄の横顔が、なんとなく赤くなっているような気がしたが、気のせいだろう。

 大体ハル兄が、なにに顔を赤らめたのか理由がわからない。顔が赤くなるのは、醜態を晒したあたしの方だ。

 顔が熱くなって左手で頬を撫でていると、ハル兄が右手でその手を掴んでシフトレバーの上に乗せた。


「え、あたし運転出来な……」

「わかってる、んなことは」


 あたしの手の甲の上に右手を重ねたハル兄は、上から手を丸めるようにして、あたしの指間に自らの指を入れてくる。

 変則、恋人繋ぎだ。


「ハル兄?」


 ハル兄はなにも答えず、眉間に皺を寄せていた。

 
 手が熱い。

 身体が熱い。


 あたしは乱れた呼吸を、必死に鎮めていた。
 
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