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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
やがて車が建物の正面の車寄せで停まれば、ずらりと横一列に並んだ、若草色の着物をきた三人の美人顔のお姉さま方が、深々と頭を下げて迎えてくれた。
すごいや!
庶民、優雅な物腰でのお出迎えに感動……その数秒後、ご立腹。
お姉さんは三人もいるのに、三人ともハル兄の運転席に集まったのだ。ハル兄のドアを開けて、ハル兄が手渡した荷物を持ち、そして最後のひとりはハル兄を旅館の中へと案内する。
ねぇ、あたしは!?
あたしも、お荷物あるんですけど!!
上品そうで優雅なお姉さま達も、イケメンと高級車には弱いのか。まあいいけどさ、ノーパンなの見られずに済んだし!
「貸せ」
気づけば、ハル兄がいじけるあたしを待ってくれていて、ひょいと荷物を持ってくれた。そこに頼もしさを感じながら、ハル兄の荷物を持っている隣のお姉さんが、窓ガラスからじっとある一点を見ていることに気づいた。
それは、あたしが座っていたシートだ。
「……? ……っ!!?」
溢れさせた蜜でシートが濡れているのが、はっきりとわかった。
ちょっとならまだしも、たっぷりと。
あたしは、あまりの羞恥にくらりと眩暈を感じた。
絶対、お漏らししたと思われている。実はこれはお漏らしではなくシモのおツユですなんて、言えやしない。どちらに転んでも、恥ずかしいことには変わりないのだ。
さらには何事かと、他ふたりも一緒に覗き込んで、事態はあたしにとって悪い方に進む。
ああ、なにこの公開羞恥プレイ。
ノーパンがばれるくらいの、危機的状況。
どうしよう!
恥ずかしすぎる!
「ああ、それは放っておいてくれ」
助け船を出してくれたのは、ハル兄。
……最後にあたしに向けて、にやりと含んで笑ったところに、あたしは無性に嫌なものを感じた。幼馴染みとしての勘だ。
「あれは、こいつの濡れ「海です、海に入って濡れ濡れになったんです!断じてお漏らしでもシモのおツユでもありません!」」
問答無用というような大声をハル兄の声に被せて、あたしは真っ赤になりながら、声をたてて愉快そうに笑うハル兄の腕を掴んで、ずんずんと中に入った。