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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 
 

「うわっ、なにこの旅館! 豪華、豪華すぎ!」


 たかが旅館の室内風呂だと侮っていた。だが、高級旅館の特別室が、庶民の想像の域に終わることはなかった。

 ドアを開ければ、広い間取りの脱衣所、コの字型の椅子が並ぶサウナ。そして大きい洗い場にある内風呂は、温度の違う浴槽がふたつ。

 奥にあるガラス戸を開ければ、バルコニーのようになっているところに岩でできた大きめの露天風呂と、檜の匂いがするふたり用の浅瀬湯があった。浅瀬湯は大胆に寝っ転がって温泉に浸かりながら、絶景を眺められるらしい。

 露天風呂の横に置かれている小さな冷蔵庫には、缶ビール。露天風呂に何個か浮いている盆には、とっくりとおちょこ。日本酒だろう。


 ビール(1缶) 1500円

 日本酒「魔王」(1燗) 5000円


 税込み価格とはいえ、値段がすさまじく高いが、こんなもの温泉で飲もうとしないあたしは、こんなぼったくりにひっかかるもんか!


「まあ、山から下りてきたお猿さんが、日本酒飲んで浸かってそうだわ」


 貧困な発想力しかないあたしは、酒の問題は抜きにして、樹と海に囲まれた、こんな大自然の中でゆったり入れる風呂に大感激。


 ハル兄に意地悪されてまだ熱くうずうずする秘部に、意識そらせられる環境に感謝した。

 早く温泉に浸かりたくて、洗うのもそこそこ。だけど秘部のぬめりはちゃんと取って、まず目の端に飛び込んでいた内風呂に入った。

 壁の看板には塩風呂と書いてある。まあ海が近いから当然か。


「きゃほー!!」


 誰もいないのを確認!

 そして広い湯船でバタフライ!! やはり泳がなきゃ!!

 昨日モモちゃんと泳いだほどはない広さだけれど、やはりこちらは温泉旅館。温泉の質が違う。血行がよくなって肌がつるつるになった感が半端ない。この12年でたるんだ贅肉も筋肉になるか?
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