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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 

「まあ、いいじゃねぇか。お前も飲むか? 魔王」


 おちょこを高くあげられる。


「魔王はハル兄でしょう。それにあたしに酒は……ってそれ」


 確かとっくり1本5千円と値段があったはずの、ぼったくりの日本酒を飲んでいるようで、顔が紅潮しているのは温泉のせいだけではないのだろう。


「ハル兄、それぼったくりで高いよ!?」


 愚民、大自然に囲まれた高級旅館で、ぼったくりを叫ぶ。


 ふと離れた処に浮かぶ盆を見ると、とっくりが三本倒れている。

 つまり、5千円×4本は……。


「2万円も無駄遣いするな!」


 愚民、帝王様に倹約を説く。だが帝王様はなぜか喜びながら、とっくりを一気のみ。

 あたしは知っている。温泉でお酒の一気飲みは、危険なんだ。医者がこんな暴挙に倒れるなんてシャレにならない!


「危ないから、寄越しなさい!」

「だぁめ! お前にやろうとしたけど、やらねぇ。お、もう一本みっけ」

 あたしの手の攻撃を難なく躱しながら、高い位置から下ろした反対の手で、岩の上に置かれていたとっくりを、さらにぐびぐび飲むハル兄。


 2万ではなく、2万5千円だった!!


「ハル兄! 温泉でお酒そんなの飲んだら……」


 あたしの両手を片手で掴み、あたしの顔を上から覗き込む。


「なんで兄貴にもどってんの?」

「え?」

「俺はお前を妹として扱ってるか?」


 片手であたしを抱き寄せる。


「こんなに、女扱いしてるのに?」


 肉厚の唇から伸びた舌で、あたしの肩を舐め上げられた。


「ひゃっ!」


 そして湯の中の手が、いつのまにかあたしの乳房に移動し、緩く揉んでくる。くすぐったい感覚から、もどかしい気持ちよさに変わっていく。


「は……はぁ、は……んんっ」

「ん? どうした?」


 わかっていて聞く意地悪なハル兄。

 外にいるからなのか、開放的な気分になる。乳房を愛撫するハル兄の手の動きが気持ちよくて、満たされなかった快感の終焉を求めるように、自然とハル兄にもたれかかり、喘ぎ声が激しくなる。
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