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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました

 
「ハル兄……」


 もっとと、ねだるようなあたしの目と、ハル兄の熱っぽい目が絡み合う。


「シズ……」

「ハル兄……」

「言えよ。どうすればお前に、俺が女としてお前と接してるとわかって貰える?」


 肉厚の唇がゆっくりと動く様は、なんていやらしくて、ぞくぞくしてしまうんだろう。


「こんなこと、妹にはしねぇぞ?」


 濡れた漆黒の瞳があたしを見て、なにかを訴えるように強く揺れている。

 ねぇ。眼差しが熱いのは、湯のせい? 酒のせい?


 そして――。


「ぎゃっ」


 がぶりと肩に歯を立てられた。


「俺を兄貴と呼んだら、お仕置きだ!」


 また、がぶり。


「わかった、わかったから! ハル、波瑠、波瑠!」

「よくできました」


 そんなものにご満足な帝王様。気を抜けば野生にすぐ戻る帝王様のご機嫌のために、あたしの肩には歯型がくっきり。温泉で治ることに期待。


「ひどいや、女の子の体に。痕が残ったら……」

「傷物になってもならなくても、俺が貰ってやるから気にするな」

「は?」


 ハル兄は、空を仰ぎ見て言った。


「ここでは、お前は俺の嫁だからな」


 ああ、そういう意味か。

 僅かな失望感が胸を襲うが、なぜなのか、あたしの意識は解せなかった。
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