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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 
 

 明らかな帝王の動揺。


「だからなんで……ああ、もういい。俺の方が煽られて変になる」


 愚民は、レベルアップしたようだ!!

 睨み続けてたら、調子に乗るなと頭をチョップされあえなく、レベルダウン。


「切羽詰まらねぇと、お前は俺を求めねぇ。そんなに誘う顔をして、俺が動かなきゃ、お前は動かないのか」

「さ、誘う顔?」


 レベルアップが、そんな顔なのだろうか。


「目を潤ませて、赤い顔で半開きの口しやがって! この俺が、珍しくお前とまったりと湯に浸かって、がっついてイッちまわねぇように鎮めているというのによ!」

「そんな顔は、ハル兄だって……だってここ、露天なんだし」


 そうだ、それはのぼせている顔ではないのか?


「ヨクジョウだ!」

「別に露天を言い換えなくても」


 ハル兄があたしを強く引き寄せた。


 高い体温の肌と肌が触れあい、蕩けそうな快感を味わい、驚いて離れようとしたら、ハル兄があたしの両腕をがっちりホールド。

 さすがは元総長。淫魔捕獲ぐらいはお手の物らしい。

 だけど突然に捕獲された淫魔、驚いて声が上擦る。


「ちょ、なに、なに!?」

「うるせえよ。欲情を浴場に転換するアホタレには、お仕置きが必要だ」

「ヨクジョウをヨクジョウに転換ってなに? なんで突然お仕置き……」



「なぁ、アホタレのシズルちゃん」



 ハスキーに聞こえるハル兄の声が、耳元に聞こえた。


「俺の、欲しくねぇの?」


 甘さをたっぷりと含んで。
 


「お、俺の?」


「そう。こいつだよ、こいつ」



 "こいつ"が、ハル兄に跨がるあたしの下腹部をノックする。

 なんてはしたない!



「な……ぐっ!」


 ホールド!


「こいつさぁ、ヘタレでさ……、せっかく近くによく締まるいい穴があるのに入れないの、可哀想だと思わねぇ? なんとかしてやりてぇよな、お前も」


 どこがヘタレだ! 今まで散々暴れていたのにと思ったが、

 

「な……ぐっ!」


 さらにホールド!



「ああ、言い方間違えちまった。

……俺を焚きつけて焦らすな」



「な……ぐっ!」


 やっぱりホールド!


 学習能力がないことを散々に披露したあたしに、ハル兄は言った。



「今回のターンは、お前から来い」
 
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