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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 

「ゆっくりしてたら、俺がやべぇんだよ。あ……」


 苦しげに、だが気持ちよさそうに唇だけ弧を描き、喉元を見せて反り返るハル兄。やがて戻されたその顔は、とろんと蕩けるような表情に比例し、壮絶な色気に満ちていて、あたしのメスの細胞をぶるりと奮いたたせる。


「……っ! やべぇっていってるのに、締めるな、アホタレ!」

「ご、ごめん……」


「淫魔が出てきそうなら言えよ?」

「うん」


 どちらからともなく顔が傾き、唇がしっとりと重なり、舌を絡めあうと同時に、ハル兄は腰を揺らして突いてくる。動きは穏やかなのに、出入りするハル兄のは凶悪なほどに、あたしのいいところを抉る。

 バシャバシャと聴こえる音が、どこからのものなのか出処を掴めない。ただハル兄の悲しそうで激しい瞳から逃れられず、視線を外せずに引き合うようにキスをする。

 キスを嫌がった最初に比べれば、ハル兄もナツみたいにちゅう好きになってしまったのだろうか。ハル兄からされるキスが断然多くなった気がする。あたしが好きな、眉間に皺を寄せたような気難しい男の顔で、あたしを女と扱うハル兄の熱さが快感を助長させた。

 蕩けるようなキスに、脳も蕩けていきそう。与えられるすべてのハル兄の感触が、結合場所から突き上げる快感を強めていく要素になっていくんだ。

 あたしの中を摩擦しながら、猛った律動を崩さないハル兄が、燃えるような熱をあたしに与える。

 熱はあたしの中で甘い痺れを産み、そんな甘美な刺激に全身を支配されて、ハル兄の滾るような熱と荒い息に精神をかき乱されて、一気に派手にイッてしまった。

「アホタレ! まだ、飛ばさせねぇ」

 だが、ハル兄の貪るようなキスと、まだ抽送を続ける獰猛な刺激に、手放しそうになった意識をハル兄に引き戻され、嬌声を上げ続けた。

 拷問のようなのに、恐怖は感じない。

 思えば、あたしはハル兄とこうした温泉とか風呂とか水場で交わることが多い。だからかな、羊水に包まれた赤子のように、すごく安心してハル兄に身をゆだねてしまう。

 
 温泉効果かハル兄の筋肉質の身体が、いつも以上にすべすべして気持ちいい。肩で呼吸をしながらあたしから抱きつくようにして、その逞しい胸に頬をすり寄せ、快感に喘ぎながらハル兄の胸の頂きを舐めると、ハル兄の眉間に皺が深く刻まれた。
 
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