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目が覚めたら。
第12章 鬼畜帝王が考えました
 

 野生児帝王佐伯波瑠にある"静"の部分を盗み見しながら、やがて行き着いたのは、背の高い緑色のフェンスのようなものが立ちふさがる場所。

 そこにある小さな簡易ドアを開けて中に入れば、そこはグラウンドのような平らな地面が広がった。あたしが記憶している限りではハーフコートと言われる大きさだろう。

 背の高いバスケットボールのゴールが立ち、そこから弧を描くように地面に半円状の線が大小ふたつ描かれ、バスケットボールがひとつ落ちている。


「これか、別館の屋外スポーツ施設って。あっちにテニスコートもあるな。あっちはプールか」

 ハル兄が顎で促す奥側、フェンスの編み目を通して一面だけネットとコートらしきものが、その隣のフェンスの向こう側には半円状のビニールハウスみたいなところも見える。


「本当だ。大自然に囲まれ、汗流すのも青春でいいよね」

 同意を求めてハル兄を見たら、ハル兄は可哀想なものを見るような哀れんだ眼差しが返された。


「……お前、本当にババ臭いな。青春通り越しているくせに」

「うるさいわ! 36歳に言われたかないわ!」


 ……一言多すぎた。


「あ゛!? なにこのED野郎だと!?」

「ち、違う違う! 36歳であろうと、ハル兄は青春真っ盛りでよろしいことでございますね!! どこもかしこも上から下まで」

 若干嫌味を込めてみると、さらに広げられる。


「そうだろう。お前はあれだけ派手にイキまくったんだからな。あんなに何度もお前の奥を抉るように突けるのは、ジジイには出来ねぇ芸当だろ」

 帝王は喜び、居たたまれない愚民は逃げたい。
 
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