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目が覚めたら。
第12章 鬼畜帝王が考えました
「お前、そんな運動神経あるのか? 潮吹くほど、トロトロのくせに」
「トロトロ間違いよ、卑猥な言い方しないで運動神経がないと言いなよ! そういうハル兄こそ、中高別に運動部でもバスケ部でもなく帰宅部だったじゃないじゃんか! 最後にバスケやったのいつよ」
「ああ、『飛龍』で3on3で遊んだのが最後だな。……18年ぶりか」
「勝った!! あたしは17年ぶりよ。小学6年のポートボールのガードで一躍有名になったんだから!!」
「ポートボール……また古いものを。自慢するなら、せめてミニバスくらいにしろよ」
そんなハル兄のつぶやきを知らず、あたしはその場でジャンプしながら、伸ばした片手で宙の高いところを叩く真似をした。
しゅんしゅん!
なかなかいい感じで手首のスナップが利く。
まだまだ現役でいけそうだ。
「じゃあこうするか? 俺が5回するシュートを、一度でもガード出来たらお前の勝ち。そうしたら俺はお前の言うことを今日と明日、なんでもきいてやろう。お望みなら何度でも、潮を吹かせててやるぞ?」
「そんな卑猥なのいらないから! あたしがガード出来ずに5回連続シュートされたらハル兄の勝ちね。いいわ、そしたらハル兄の言うこときいてあげるわよ、1回」
「1回きり? 俺は2日と言っているのに、せこい奴だな……」
「べ、別にいいでしょう? レディーファーストよ、レディーファースト!」
「……言葉の使い方、間違ってるぞ」
「よし、男なら二言はないわね!?」
ハル兄の指摘を無視し、びしっと人差し指を突きつけて叫ぶ。
「ああ、ない。女に二言はないな?」
「ないわ!」
そして始まる突然の勝負。
ハル兄はボールを持って大きい二つ目の半円より外側にまで下がった。
結構距離がある。
「行くぞ」
「おうよ! いつでもかかってきな!」
あたしはゴール真下で両手をゆっくりと動かして威嚇する。
「それはカニの真似か、それとも俺に呪いをかけているつもりか?」
「どちらでもありません!」
風が凪いだ――。
その瞬間に、草履で飛び出したハル兄は、低い体勢でドリブルをしながらあたしの目の前に居た。