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目が覚めたら。
第12章 鬼畜帝王が考えました
 

「さあ、なにして貰おうかな、シズルちゃん」

 ハル兄は、バスケットボールを指の上で回転させながら、にやにやと笑う。

 負けるなど考えていなかったから余計、このにやにやが腹が立ち、この怒りの行き場をどうしようかと思っていたところ、テニスコートが視界に入った。

 そうだ!!

 いかに帝王様がサバンナで走り回っていようとも、御年も御年。

 運動不足が祟った上の、久しぶりのバスケできっと体は疲労して、テニスなど出来る状態ではないに違いない。

 そこにあたしが華麗に決めて、なんでもするという約束を相殺するんだ。

 おお、とってもいい考え!!
 あたし、モモちゃんなみに頭いいぞ!

「優しい俺様としては、俺の妻になりたいと望むお前のために、婚姻届けを書いてやっても「ハル兄、今度はテニスで勝負よ!」」

 なにやらぼそぼそと聞こえたけれど、ハル兄の言葉を遮るように叫んだあたしは、すくりと立ち上がって、テニスコートを指さした。

 すると、ボールを両手でがしっと挟んだハル兄が、顰めっ面で尋ねる。

「……最後に聞いた、俺様の言葉を述べよ」

「へ……。『なにしてもらおうかな、シズルちゃん』」

 するとバスケットボールが顔面に飛んできた。

「痛っ!!」


 なぜに!?

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