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目が覚めたら。
第12章 鬼畜帝王が考えました
さあ、やってきました、テニスコート。
なにやら不機嫌極まりない帝王様のご機嫌を取り、へこへこしながらテニスコートに案内したあたし。
ルールはシンプル、2ゲーム先取をすれば勝ち。
「お前が勝てば望みを叶える。俺が勝てば、ここでお前の潮吹き決定。当然バスケの褒美はまだ残っているからな」
……あたし、自分で自分の首を絞めた?
いやいや、そんなことはないはず。
超然と笑うハル兄に、あたしだって負けちゃいない。
「はっはっは。出来るものならやってみなさい」
ベンチの横にあった箱から赤いラケットを手に取ると、ラケットの先をずいとハル兄に突きつける。
「このラケットがあれば、豪速ボールが可能よ!」
「……根拠は?」
「これだけ、赤いから」
「黒の方が強いんだよ!」
ハル兄はまたもやむっとしたように言うと、黒いラケットを手に取り、くるくると回した。
「時に、シズ。お前はテニスというものをしたことがあるのか?」
「ない」
途端に、ハル兄の眉間に皺が寄る。
「ないのにお前、俺に勝つ気満々なのかよ!?」
「卓球には自信あり」
「は?」
あたしは親指を突き立て、にかっと笑う。
「球技大会では、ぶっちぎりの優勝よ。卓上がコートになっただけの試合なんて、あたしは負けない! ……ほいっ、ほいっ!」
卓球のように親指と人差し指にラケットのグリップを差し込んで、体を捻りながら素振りをして見せると、ハル兄はやけに哀れんだ目を寄越した。