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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
 




 ちゅっ、ちゅっ……。



「ん……っ」



 くちゅ。くちゅ……。



「あっ……んふぅっ……」



「しーちゃんが可愛すぎるから、止まらなくなる。ん……んんっ……。しーちゃん……もっと舌、絡め合おう? ねぇ、僕……寂しかったんだ。恋しかったよ。スマホ……壊れちゃったから声も聞けずメールも出来ず、3秒しか表示しないしーちゃんの待ち受けで寂しく抜いてたんだ」


 ……誰かがなにかを言っている。

 なに、この口の中の……気持ちいいぬるぬる……。


「はっ……んんっ……ああ、生しーちゃんの味。しーちゃん、んん……は、ぁっ……しーちゃん、口端から涎が垂れちゃった。ごめんね、僕夢中になりすぎて。じゅる……しーちゃんは唾液まで甘いね。……ねぇ、その舌も啜りたい。……じゅるる」


「あ……っ、んんっ……あっ……」


 なんであたし、こんなに甘ったるい声を出しているの?


「しーちゃん、舌の横側、感じるでしょう? ここ根元からなぞったり、こういう風に吸ったら……じゅるっ……ふふふ、しーちゃん、足もぞもぞしてる。可愛い、本当にしーちゃん可愛い。ん……しーちゃん、んんっ……くちゅ、くちゅ……早く目覚めて、ねぇ……じゃないと、下のお口に挿れちゃうよ? んんっ……しーちゃん、起きて? 目覚めて? また眠り続けないで」


 泣き出しそうな声。揺り動かされる体。

 
 そしてあたしは覚醒する。


 カーテンから漏れる目映い光――。



 目が覚めたら――。



「しーちゃん、おはよ……?」



 色素の薄い美麗な王子様が、やけに濡れた唇ととろんとした目で微笑み、


「……ああ、しーちゃん、目覚めてよかった。しーちゃん、起きたなら続きしよ? もっと濃厚な奴……んっ」



 あたしの上に覆い被さりながら、水音たててあたしの唇を貪り、あたしの名前を切なげに呼び続けて、悩ましく喘いでいました。


「しーちゃん、舌だけじゃなく……くちゅ……下も絡みあっこしよ……? わかる、僕の状態……。僕……長持ちできるようになったんだよ、根元縛ったらね、カウント293……いったんだ。ご褒美ちょうだい?」



 微妙な自慢に悦んで股を擦りつけてくるのは――


「朝っぱらからひとの寝込み襲ってなにするんじゃ、この変態っ!!」


 沖縄帰りのナツでした。



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