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可愛いヒモの育て方。
第18章 告白

「ぶっちゃけ、顔も覚えてなかったからさ。マサルっていうんだけど、どんな字書くのかわかんないし」
「どういう人だったんですか?」
「十歳年上で、いつもタバコ吸ってて、あまりしゃべらない。んで、セックス大好きな人。恋愛に関しても面倒くさがりで、飽き性。……付き合ってた頃は、そんなイメージだったかな」

 ぼんやりと、昔を思い出す。連絡はほとんど取り合わず、たまに来るのはいつも、部屋に呼ばれる時だけだった気がする。誘いに乗ると、学校まで迎えに来てくれた。
 まるでセフレじゃん、なんて、別れたあとは思っていた。
 だけど。

「今日会ったら違ったんすか?」

 麻人の言葉に、頷いてみせる。

「だいぶね。結婚してたし、よくしゃべる人になってた。よく笑うし、気さくに話しかけてくるし。接客関係の仕事なんて向かなそうだったのに、今日会ったらそんなイメージもなくなってた。ほんと、別人みたいだった」
「それが、ショックだった?」

 私の言葉の足りない部分を埋めるように、麻人が言葉を挟んでくる。私はそれに、ただただ頷いて肯定した。
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