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可愛いヒモの育て方。
第18章 告白

 私は視線を麻人に移す。暗闇にもだいぶ目が慣れ、彼の表情もぼんやりとわかるようになった。

「別れること前提のお付き合いなんて、あの頃は考えられなかったんだ。遊ばれてたのかな、ジョシコーセーとただやりたいだけで、彼女じゃなくてほんとはセフレだったんかなって、心のどこかでずっと思ってた。だけどマサルは本気だったって言ってた。話聞いてたら、確かにそうなんかなって思ったし、遊ばれてたわけじゃないってわかってほっとしてた自分もいるけど。……八年もずっとあの一言を引きずって、アホみたいに被害妄想繰り返してた自分がなんだか惨めで……」

 私の恋愛のスタンスは、だいぶマサルの言葉に影響を受けていた。それはどうしても、認めないわけにはいかない事実だ。

「小説を消したのは、思い出の中のマサルとさよならしたかったからだよ」

 私の勝手な理想や妄想で塗り固めたマサルは、もういらない。現実のあいつは、記憶の中のマサルとはだいぶかけ離れていたのだ。奥さんがいて、可愛らしい喫茶店を始めて、よくしゃべるし笑ってた。
 だけどそれだって、マサルの一側面だったのだ。私が知らなかっただけで。
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