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可愛いヒモの育て方。
第18章 告白

 だけどその中に、昔の面影もちゃんとあった。

「なんだかんだで、幸せそうだったよ」

 マサルが前より丸くなったような気がするのは、もしかしたらあの奥さんのおかげなのかもしれない。
 客のほとんどいなかった喫茶店を思い出すと、経営的な意味で少し心配にはなるけれど、マサルの幸せそうな家庭事情を素直に喜ぶことができた。

「……なら良かった」

 麻人のなんだか安心したような呟きに、私の口元も自然とほころぶ。
 麻人を抱きしめる私の腕はいつの間にか緩んでいたらしく、麻人の体はするりと腕をすりぬけて、再び私の隣に横になった。

「別に、消す必要はなかったと思うんですけどね」
「小説?」
「うん」

 麻人は言葉を探すように、少しの間を開ける。

「……妄想だっていいじゃないっすか。友梨香さんが見ていたマサルさんの一部には違いないでしょ? 人間なんて、もとから多面的なイキモノじゃないすか。友梨香さんが昔見ていたマサルさんと今のマサルさんが違って見えたのなら、多分新たな一面を知れたってことですよ。捏造でもなんでもないじゃん」
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