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限界Lovers
第13章 私の知らない彼の顔
「此処、この蕎麦屋が美味いんだよ」
課長お墨付きの蕎麦屋で昼飯を食べる。
課長は予約をしていたようで大人数でもスンナリと
席に着けた。
「さっきの植物園は良かっただろ 」
「アマゾンみたいでしたね」
「今度彼女連れてってやれ」
「そうですね…」
植物園、喜ぶだろうか…みなみ。
出されたお茶を啜りながらそんなことを考えたらみなみに会いたくなってきた。
「元気ないな山下、バスに酔ったか?」
「いえ、大丈夫です」
「課長気にしないでください。こいつの彼女シック
はいつものことなんで」
隣の久保さんがフォローにならないフォローをして
くれる。
「山下…お前の彼女はそんなに可愛いのか?」
「すっげー可愛いです。マジで可愛いです」
「でも絶対見せてくれないんですよね」
そこに口を挟むのは高橋だ。
「いつも写メ見てニヤついてたりプリクラ見てはニヤついてたりしてますけど、絶っっ対見せてくれないんすよ」
「人に見せたら減りますから 」
「何なんだお前の彼女は」
課長は呆れ気味に苦笑い。
「じゃあ今度は家族や彼氏彼女込みでバーベキュー
でもするか?」
「………」
「何故黙る」
「いや、確実に減るなと思いまして」
「連れてこいよ“みなみちゃん”」
高橋が俺の背中をバンバン叩いた。
痛くて眉間にシワが寄る。
「でも最近の山下の働きの裏にはその彼女がいるん
だろ?いいことじゃないか。高橋、お前も早く彼女
を作れ」
「作れって言われてできたら世話ないっすよ」
そしてテーブルはおっさんの笑い声で溢れ返る。
それから雑談混じりの仕事話をしていると蕎麦が運
ばれてきてみんな大人しく食べ始めた。
ふと視線を上げると入り口から蕎麦屋には不釣り合いな四人組。
「四名でーっす」
テンション高い男と股のユルそうな女二人、そしてその隣には不釣り合いな…
「…あ、」
隣人鈴木だ。