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限界Lovers
第13章 私の知らない彼の顔
牧場を出た私たちは近くにあるトリックアート美術
館に寄って旅館へ。
「丁度良かったな、時間的に」
3時を少しだけ回った時間に到着した私たちはすんなりと受け付けへ。
…といっても代表で駿くんが記帳してくれてるから、きーちゃんと私はただ居るだけなんだけど。
「団体もいるんだね」
「本当だ…大部屋もあるのかな」
先に部屋に通される団体さんをボーッと見ていたら
見慣れた後ろ姿を見つけた。
「遥斗!?」
遥斗だ!間違いない。
「えっ、遥斗さん?」
「うん…遥斗だった」
「凄い偶然だね、後で声掛けなよ」
「う、うん」
私の頭は一気に薔薇色。偶然遥斗と同じ旅館だなんて!
その後部屋に通されてもなんとなくソワソワしてし
まう。
「和室って落ち着くよね~」
「うん…」
「でもみなみソワソワしてるし」
きーちゃんに笑われ恥ずかしい。
「まあ…こんなとこで会ったら仕方ないか」
「そうなの!こんなのもう運命じゃない!?」
「ハイハイ」
きーちゃんは私を流しつつ急須にお茶っ葉を入れた。
「みなみお茶飲む?」
「うん、駿くん呼んでくる?」
「呼んできてくれる?」
「オッケー」
手際よくお茶を淹れるきーちゃんはきっといいお嫁さんになると思う。
駿くん…幸せだよね。
「私が男だったらきーちゃんをお嫁さんに貰いたいよ!」
「やらねーよ」
駿くんの部屋の前で力強く叫ぶと丁度のタイミングで駿くんが顔を出す。
「怪しいからその独り言はやめろ」
「…お茶が入りましたよ?」
聞かれてしまった独り言はちょっと気まずい。
思わず目を反らすと廊下を遥斗が横切るのが見えた。