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第15章 濡夜

「みなみの身体は弄ばれてしまったの！だから…」


「…は？」


みなみの言葉がうまく飲み込めない。
弄ばれた？
弄ばれたって…


でも次第に意味を理解すると静かな怒りが込み上げる。


俺はオカマ２号を見た。


「…誰に？」


するとみなみが震える手で指を指す。


「この人…」


「…………」


「この人にみなみのおっぱい舐められたの！！」


「なっ…」


だって…その人は…


信じられない気持ちで視線を移すと…


「てへ♪」


肩をすくめておちゃらける女の人…


……女の人だぜ？



「酔ってんのか？」


「酔ってない！酔ってるけど酔ってない！」


みなみは怒りながらボロボロ泣いている。


「は…遥斗に“みなみのおっぱいは俺だけのものだぞ”ってずっと言われてたのに…！ごめっ…ごめんなさい…みなみが気を抜いたばっかり…に…」


「ヤダそんなこといつも言ってるの？かっわいー」


バブリーなオカマが囃し立てた。


「み…みなみ、それは人前では…」


さすがに恥ずかしくてみなみをたしなめる。
みなみに向き合うとグチャグチャ顔のみなみが俺を見つめ、そのまま胸に抱きついてわんわん泣き出した。


「ごめんなさいー！」


「あら、甘えちゃって」


「遥斗、遥斗ー！」


「みなみ…」


「チッ」


抱き合う俺たちにバブリーなオカマは涙目で拍手をし、女の人は心底つまらなそうに舌打ちした。


「理奈ちゃん、諦めなさい」


「…指くらい挿れとけばよかった」


「理奈ちゃん！」





それから俺はバブリーなオカマによくお礼を言ってみなみを部屋まで送り届ける。


「みなみ、みなみの心得三ヶ条は？」


「えっと…知らない人にはついていきません、知らない人とは話しません、あと一人でフラフラしませんと…浴衣の下にはＴシャツを着ます…だよね？」


指折りみなみが思い出す。


「何一つ守ってねーな」


「…ごめんなさい」


「とりあえず部屋行ったらTシャツ着ろよ」


「…はい」


シュンと萎れるみなみは本当に可愛くて憎たらしい。
この相反する感情が胸でくすぶると無性にみなみをいじめたくなる。


俺のものなのに俺だけのものにならないみなみ。


繋いだ手にギュッと力を籠めるとみなみが俺を見上げた。