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限界Lovers
第15章 濡夜








ドアチャイムを鳴らすと今度はすぐきーちゃんが出てきてくれた。


「みなみー!」


「た…ただいま」


「ずっと帰ってこないから心配したよ」


「…ごめんね」


きーちゃんの後からは駿くんも来て、遥斗は張りつけたような笑顔に変わる。
私は密かにドキドキしたけど二人はそんな不自然さに気づいてないみたいでほっとした。



遥斗は会社の人との宴会があるからってそのまま帰って…
でも夜の約束があるから大丈夫だって自分に言い聞かせた。


それから二人と待たせてしまった夕飯を食べながら色々な話をした。


子供の頃の事、学生時代の事、友達の事に仕事の事、二人の事…


きーちゃんの薬指には綺麗な指輪が輝いていて私は素直に羨ましいと思った。
そして幸せそうなきーちゃんが嬉しかった。


幼稚園から一緒の私たちだけど、特にきーちゃんと私の付き合いは深かった。
子供の頃、ボーッとしていた私はシッカリ者のきーちゃんと組まされることが多かった。


私はきーちゃんを頼り、きーちゃんはきーちゃんで私をどうにかしないと…という使命感があったと後に聞いた。


その関係は小学校、中学校、高校と変わらず続き今に至るわけだけど…


「覚えてる?みなみ、中学の時に“一緒に結婚しようね”って約束したの」


「…覚えてる 」


「何おまえらそんな約束してたの?」


「一緒に結婚して一緒に子供生んで…で私たちが通った幼稚園に一緒に入れるの」


「きーちゃんの子が男の子でみなみの子が女の子で結婚させるんだよね」


懐かしい思い出が可笑しくて、…それを本気で言ってた当時の私たちが可愛くて大笑いしてたら急に寂しくなってきた。


「…駿くん、きーちゃんのこと幸せにしてね」


きーちゃんは駿くん以上に大切な友達だからずっと幸せで居てほしい。


「浮気したり借金して苦労させたりしたら許さないから!」


「縁起悪りーな!しねーよ!」


きーちゃんがお嫁に行っちゃうと思ったら寂しくて…感極まる私は相変わらず涙腺崩壊してしまうけど…


ふときーちゃんを見るときーちゃんも泣いていた。


きーちゃんの涙を見るのは初めてだった。


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