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限界Lovers
第18章 デキちゃった?
最悪な目覚めから始まった一日も、始まってしまえば何て事ない普通の日で。


「よいしょっ、よいしょっ」


段ボールを抱える先輩を見てみなみが重なる。


「ダメですよ!妊婦さんは重いもの持ったりしちゃ!」


「あら…」


先輩から段ボールを奪い俺が持つ。


「山下くん…惚れちゃう」


「簡単に惚れないでください」


「私があと5歳若かったら嫁にしてもらったのに…あいにく私年下はダメなんだわ」


「俺は彼女以外がダメですけどね」


「ストライクゾーン狭いね」


「彼女の幅があればいいんです」


ハハっと笑って先輩は目を細める。


「まあ冗談はさておき…“みなみちゃん”は幸せだね」


「……」


「おやまあ照れてる!」


「照れてないっス」


「幻の“みなみちゃん”見れるの私も楽しみにしてるわ」


最後に先輩は“ありがとう”と背中を叩いた。


…さっきの先輩が指しているのは課長がヤル気になってしまったバーベキューで。


時期も来週末に決定した。


……みなみ、行けるだろうか。


高橋がみなみに目をつけてしまったことを思えば下手に会わせない方がいい気はする。
けれどもうちの課はコミュニケーションを重んじている故、課でのイベント事が多い。


…このままのらりくらりとみなみを“幻のみなみちゃん”化させとく訳にはいかないだろう。


みなみの為にも。




「…時間早く進まないかな」



今日はとにかく時計が気になる。



一刻も早く帰るため、昼休みに会社の近くのドラッグストアに妊娠検査薬を買いに行った。


昼飯も買って会社に戻るとドンとすれ違い様人とぶつかる。


「あ、ごめんなさい…って山下くんか」


「並木さん…」


急いでいた様子の並木さん。



「急ぎ?」


「…お客さんから急に呼ばれて」


俺の落とした小袋から検査薬が覗く。


並木さんはそれを拾おうとして中身に気づいたのだろう。
一瞬手が止まった。


「真っ昼間からすごいモン買ってるね 」


「まあ…」


袋を拾って並木さんが渡してくれる。



「子供…できたの?」


「まだ分かんないけど」


「そう…」



並木さんは前髪をといた。
微妙な空気が少し困る。


「行かなくていいの?」


「あっ…行かなきゃ」




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