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限界Lovers
第19章 二人の記念日
それからむず痒いようなやり取りを経てキッチンから追い出され、仕方ないから身支度をして来ると弁当はもう出来上がっていた。


チェックの布で包まれたそれは、そこにあるだけで幸福感を醸している。



みなみと一緒に朝食を食べて、準備して家を出る。



「はい遥斗、お弁当」


「ありがとう…すっげー楽しみ」



みなみから受け取った弁当は小さなバッグに入っていた。



「今日はさ、夜外に食べに行かないか?」


「うん!」


「7時までには帰るから…いってきます」


「いってらっしゃい」


そして日課のキスをしてチャージをしたら会社に向かった。





歩く道すがら今日という日を考えていた。


ーーみなみと付き合い始めた大事な日。


そして去年は「卒業したら一緒に住もう」と同棲を提案した日。


それから今年はみなみが初めて「愛妻弁当」を作ってくれて…



今夜、婚約指輪を買いに行こうと思う。




「ーーーっっ!!」



ヤッバイ…マジでヤッバイ!


今日は世界が輝いて見える。
いつもは苦手な朝のホームも満員電車も苦にもならない。


ダルい朝の朝礼も半ばウザイ課長さえも優しく見える。見てしまう。


こんなに世界が変わるなんて!
みなみ…おまえはやっぱり女神だよ!!



「ーーーーフッ、フフッ…」


怪しい笑いが漏れていることも気づかず、みんながヒソヒソ怖がっていたことも気づかない。
俺の心はそれだけみなみで一杯だった。


そして待望の昼休み。


社食に行く人たちを横目に見ながらこれみよがしに弁当を出す。
でも別に誰も何も言ってくれない。


ーーー仕方ないから一番近くにいた陽子さんに自分から報告。


「今日彼女の弁当なんですよ」


「へー、良かったね」


反応薄っ!!!


俺のことなんて気にもせず陽子さんはゲームで畑の水やりだか何だかをしている。


記念すべき日に釣れない人だと思いながら弁当を開けると…



「!!!!!」



卵 焼 き が ハ ー ト 型


「ナニコレ!ちょ!陽子さん!」


「あん?」


「見てくださいよちょっと!卵焼きが!卵焼きがハートなんですよ!」


みなみ!お前は天才か!!
それとも俺への愛が具現化したのか!?



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