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限界Lovers
第19章 二人の記念日
反対なんて考えもしなかった。


「バンドやってて妹が支えてるから余計なんだけどね」


「でも俺定職ついてるしヒモじゃないし…」


「まーでもそれ抜きにしてもなーんか気に入らないみたいよ」


「…嫌われてるワケですね」


それなら大丈夫だと思う。
みなみのお父さんにもお母さんにも、俺はなかなか気に入られてるはずだから。


付き合ってすぐ挨拶したことも(アクシデントだけど)同棲する時挨拶に行ったことも「今時珍しい好青年だ」って高く評価されてたし。


……大丈夫だろ、反対なんて。






「フフン」


「何その笑い」


「いや、結局人柄とか行いがモノを言うんだろうな…ってね」


「…あっそ。まあせいぜい頑張って」


最後は本格的に呆れられ、俺は残りの弁当を噛み締めるよう味わった。










そして一日は過ぎ、夜。



約束の時間に帰宅するとみなみはちゃんと出掛ける準備をしていた。


しかもいつもより気合いが入ってていつにも増して可愛いときてる。


「おかえり遥斗」


「ただいまみなみ!弁当すげー美味かったよ。特にハートの卵焼き!ナニあれ…天才かと思った!」


「本当大袈裟…レシピアプリ見て作っただけだよ」


「でも人生で食べたどの弁当より美味かった!」


「…じゃあもっと美味しいって喜んでもらえるように頑張るね」


ちょっと照れた顔で健気なことを言われ…


みなみのこういうとこ、可愛くてすごく好きだとしみじみ思う。



それから俺も着替えて予定通り家を出た。


「ねえ、遥斗。二年前の事覚えてる?」



「当然!忘れるわけないだろ!?」


秋の夜は肌寒い。
みなみの手を握ると小さな手は既にひんやり冷たかった。




ーーーー忘れるはずがない。
忘れられるはずかない。




あの日から全ては始まったんだ。
二年前の今日…







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