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限界Lovers
第21章 BBQパニック
「課長!」


課長さん…偉い人!?


思わず課長さんを見ると目が合った。
すると課長さんはニコリと笑ってくれて、私も釣られてヘラリと笑う。


「課長、みなみに色目使わないでください」


ムッとした顔の遥斗が私を隠すように前へ出る。


「全くお前は…何が色目だ」


呆れ顔の課長さんが遥斗と話していると小さい子が課長さんに駆け寄った。


「課長のお子さんですか?」


「そう、一番下の子なんだよ…な?


そう言って目尻を下げた課長さんがその子を抱き上げた。


「上のお子さんは?」


「高校生と中学生だからな、もうついて来ないよ」


「随分離れましたね」


「まあ…仲が良い証拠ってことだ」


抱かれたその子は目が合うとニコッと笑った。
愛想のいい子に今度は自然に笑い返す。


「課長、紹介が遅れましたが婚約者のみなみです」


「い、一ノ瀬みなみと申します!よろしくお願いします!」


「婚約したのか!」


「しました、…先日」


少し照れてる遥斗は新鮮だった。


「そうか…みなみさん、山下は会社であなたの話ばかりしてるんですよ」


「か、課長!」



「だからみなみさんを見せろって言うと“見せたら減りますから見せません”なんてシレッと言って…残念だな山下、みんなに見られてみなみさん今日なくなるぞ」


「それは困ります…」


バツの悪そうな遥斗に課長さんは豪快に笑った。
私も穏やかに笑っていたのだけど…



ーーーその時視線を感じた気がしてなんとなく振り向くと…



「!」



それは温泉街の公園で遥斗に抱きついてたあの人だった。


そして私と一瞬目が合うとパッと反らされる。



「………」


「それにしても“みなみさん”…か。昔やってた野球漫画のヒロインと同じ名前だな。俺は昔野球をしてたからあんなマネージャーに憧れたもんだよ」


「そう言って熱い目でみなみを見ないでください…って、みなみ?」


「………」


「みなみ?」


遥斗に呼ばれ我に返る。


「どうした?」


「えっ…何でもない… 」


「みなみさんはお前に心非ずだな」


「なっ!そんなことないですよ!…な、みなみ?」


「うん…」


そっか…そういえばあの人も同僚なんだよね。
複雑な気持ちになった。



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