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限界Lovers
第21章 BBQパニック
「正直あなたたちなんて壊れちゃえばいいってずっと思ってた。…私なんてあなたよりずっと前から山下くんを見てきたのに」


並木さんは私を見ずに話す。


「就職して山下くんと再会して…これから頑張ろうって時にあなたと付き合い出しちゃって…ホーント世の中って上手くいかないよね」


自嘲気味に笑う並木さんに自分で質問しておきながら言葉が出ない。


「だからそんな顔しないでって…真面目に答えちゃった私が馬鹿みたいじゃない」


「並木さんていい人ですね」


「どこが?」


「…そんなとこが」



「だって…妹より年下の子に意地悪言ったって仕方ないじゃない」


「言う人は言いますよ」


「そうかもしれないけど…もしかして言われたいの?」


「いや…嫌ですけど」


またほんのちょっとだけ並木さんは笑ってくれた。
でもまた私から目を反らして…



「ごめんね、意地悪は言わないけどやっぱりすぐには諦めきれないかもしれない」


「………」


「少しくらい足掻かせてもらうけど心配しないで?山下くんの気持ちは悔しいくらい動かないから」


「心配しますよ…」


「することないのに」



それからまた無言の時が過ぎた。


「…そろそろ行ってみる?」


「そうですね…」


「あなたが思うほど周りは気にしちゃいないわよ。高橋くんはいつもアレだし」


「アレ…ですか」


「そう、アレ」



走ってる時は夢中だったけど、大きな公園はやはり広い。


途中で通った芝生の上で男の子が二人でサッカーをしていた。


並木さんは彼らを一瞬目で捉え、そして前を向く。


「並木さん」


「ん?」


「…一つだけ遥斗の高校時代の話、何か聞かせてもらえませんか?」


「えー…どうしようかな」


「そこを何とか」


空は高くて抜けるように蒼かった。
数秒、並木さんは空を見上げ柔らかな表情を浮かべる。


「…サッカーしてる山下くんは普段と雰囲気が違ってた。好きなものに対しては真っ直ぐだよね…」


「…………」


「…何?せっかく話してあげたのに」


「いや、分かんないなって…」


「分かんないくらい“真っ直ぐな山下くん”しか知らないって?」


「?」


「別にいいけど」







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