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限界Lovers
第22章 鈴木将太の憂鬱3
もう一本は勿体なくて見られない。
とにかく最初に見てしまったDVDの瑞々しさに僕は感動すら覚えてしまった。


「こんな良作が300円で一週間も借りられるなんて…」


それから僕は毎日「はつこい~少女から大人へ~」で抜いた。


その女優さんが好きすぎて検索したら、瀬戸内海という女優さんに辿り着いた。


「セトウチウミちゃん…寂聴先生と同じ名字…」


それもまた運命に思えてくる。



海ちゃんが出ているAVは僕が借りた二本だけらしい。


毎晩悩まされたみなみちゃんの喘ぎ声さえ気にならなくなるくらい僕は海ちゃんに夢中だった。


そして…



「ありがとうございましたー」



海ちゃんにそっくりな瑞希ちゃんに…



「…鈴木さんって数学得意ですか?」


お客さんの切れ間で瑞希ちゃんに訊ねられた。


「好きな方の教科ではあるよ」


「来週テストなんですけど…全然分かんなくて」


瑞希ちゃんが上目使いで僕を見上げる。


「バイト終わったらちょっとだけ裏で勉強見てくれませんか?」


「い…いいよぉ?」


……また変な返事になってしまった。


でも…好きな子に勉強を教えるとか憧れシチュ!!


それからワクワクしながらバイトを終えて瑞希ちゃんに勉強を教える。


瑞希ちゃんは本当に数学が苦手で理解するにもかなーり時間がかかってしまう。


「どうしよう…赤点になっちゃう…」


目をウルウルさせる瑞希ちゃん。


「でも今日はもう遅いからまた次のバイトで教えてあげるよ」


「鈴木さんとは週二回しか合わないんですよ?どうしよう…他に頼れる人なんていないのに… 」


「!!!」


他に頼れる人なんていないのに…
他に頼れる人なんていないのに…
他に頼れる人なんていないのに…
他に頼れる人なんていないのに…



頼られてる?
頼られてるの僕!?


体中の血が一気に逆流するような感動だった。


「そ、そっか…でもお家の人が心配するしな」


「うん…あっ、鈴木さん、明日は?」


「明日…僕は何もないけど」


「私もなにもないんです!良かった!じゃあ明日勉強を教えてください!鈴木さんちで!」


「!!!!!!」



これは…これは何かのフラグなのだろうか?


男女が二人きり。
独り暮らしの男の部屋=セックス


ヤバイ…ヤバイ…
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