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限界Lovers
第24章 雲行き
昼のピークを過ぎたラーメン屋は人もまばらで、空いているカウンターに座る。
店の店主は愛想が良く、メニューを眺めてねぎみそチャーシュー麺に決めた。
「ねぎみそチャーシュー」
「はいねぎみそチャーシュー」
ラーメンが来るまで漫画を読み、出来上がったラーメンを啜っていると隣に女の人が座った。
「ねぎみそチャーシュー」
「はいねぎみそチャーシュー」
同じメニューを頼む隣人。
今時女の人が一人でラーメン屋に入るなんて珍しいことじゃない。
でも女の一人ラーメンはとある人を思い出させる。
顔に似合わずオッサンみたいな食べ物が好きだった。
酒も強いし甘いものは嫌いだし、みなみとは対局に居そうな昔の彼女を…
でもそれも過去の事だし、もうさほど気にすることもなくラーメンを食べていると…
「んっ!」
「………」
「んんっ!」
隣人の妙な咳払い。
風邪でも引いているのかとちょっと不快に思いながらも俺の視線が向くことはない。
「お待ち」
「どうも」
割り箸に手が伸び胡椒にも手が伸びる。
その手が妙に目につくけどまだ俺は気にしない。
パチンと箸を割り、箸を持った肘が俺に当たる。
「………」
何なんだよコイツ。
そこで初めて視線を向けると隣人も俺を見ていて…
「!」
「久しぶり」
「日和…?」
目が合った瞬間時が止まったように感じた。
別れてからこの四年、会うことなんてなかったのに…
隣の彼女は一人ラーメンといえばで思い出される俺の元カノ、まぎれもなくその人だった…
「似てる人が居るなって思ったんだけど…」
俺の元カノ…福本日和は悪戯に目を細めた。
「…似てるだけだろ?人違いだから」
「なにその返し」
長く一緒に居るだけあってかみなみみたいなことを言ってしまったと思いかなり恥ずかしい。
…が、そんな俺を日和は気にするでもなくカラカラと笑っている。
「元気だった?」
「…それなりに」
「そう」
フフっと笑ってまたラーメンを食べ始める日和。
日和の横顔はあの頃と変わらない。
決していい別れ方じゃなかったから会いたくなんてなかったのに今、この状況を夢みたいに思っている自分がいた。
店の店主は愛想が良く、メニューを眺めてねぎみそチャーシュー麺に決めた。
「ねぎみそチャーシュー」
「はいねぎみそチャーシュー」
ラーメンが来るまで漫画を読み、出来上がったラーメンを啜っていると隣に女の人が座った。
「ねぎみそチャーシュー」
「はいねぎみそチャーシュー」
同じメニューを頼む隣人。
今時女の人が一人でラーメン屋に入るなんて珍しいことじゃない。
でも女の一人ラーメンはとある人を思い出させる。
顔に似合わずオッサンみたいな食べ物が好きだった。
酒も強いし甘いものは嫌いだし、みなみとは対局に居そうな昔の彼女を…
でもそれも過去の事だし、もうさほど気にすることもなくラーメンを食べていると…
「んっ!」
「………」
「んんっ!」
隣人の妙な咳払い。
風邪でも引いているのかとちょっと不快に思いながらも俺の視線が向くことはない。
「お待ち」
「どうも」
割り箸に手が伸び胡椒にも手が伸びる。
その手が妙に目につくけどまだ俺は気にしない。
パチンと箸を割り、箸を持った肘が俺に当たる。
「………」
何なんだよコイツ。
そこで初めて視線を向けると隣人も俺を見ていて…
「!」
「久しぶり」
「日和…?」
目が合った瞬間時が止まったように感じた。
別れてからこの四年、会うことなんてなかったのに…
隣の彼女は一人ラーメンといえばで思い出される俺の元カノ、まぎれもなくその人だった…
「似てる人が居るなって思ったんだけど…」
俺の元カノ…福本日和は悪戯に目を細めた。
「…似てるだけだろ?人違いだから」
「なにその返し」
長く一緒に居るだけあってかみなみみたいなことを言ってしまったと思いかなり恥ずかしい。
…が、そんな俺を日和は気にするでもなくカラカラと笑っている。
「元気だった?」
「…それなりに」
「そう」
フフっと笑ってまたラーメンを食べ始める日和。
日和の横顔はあの頃と変わらない。
決していい別れ方じゃなかったから会いたくなんてなかったのに今、この状況を夢みたいに思っている自分がいた。