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限界Lovers
第24章 雲行き
「…あれだけ節操ナシに遊んでたくせによく俺と二年も別れようとしなかったよな」


それはちょっとした疑問でもあった。



「どうしてだと思う?」


「分かんないから聞いてるんだけど」


「遥斗が可愛かったのとエッチが良かったから」


「………」


思わず言葉を無くし目が点に。


真っ昼間のラーメン屋のカウンターで恥ずかしげもなくこんなこと…
気まずさから周りを見回してしまう。


「こんなとこでする話じゃないだろ…」


「じゃあそんな話が二人きりでできる場所行く?久しぶりに」


「お前なぁ…彼氏居るんだろ?俺だって…」


「やだ遥斗、どこだと思ってるの?」


クスクス笑われ脱力する。

昔から日和はこんな女だった。
そして俺もそんな冗談に上手く乗っかるような男だった。


でも今は…正直呆れる。
久し振りに会ったばかりでそんな冗談なんて節度がないとイライラする。


「それともそれはお誘い?」


「違う」


今、俺の顔はあからさまに不機嫌だ。
俺の心情を日和は読み取ったようで。


「…嘘、悪かった…そんなに怒らないで」


俺にすまなそうに手を伸ばし背中をポンポン撫でた。


「…マジでやめろよ。昔は昔だし…今は本当に彼女が大事なの」


「…ごめん」


「冗談でもそういうのやめてくれ」


「なんか懐かしくてさ、遥斗見てると意地悪したくなっちゃうのよ」


「何だよそれ…」


「小学生男子みたいな心境ですよ」


「はぁ?」


それから何となく二人で立ち上がり、日和から伝票を奪って一緒に金を払った。


「ごちそうさま」


「別に…じゃあな」


呆気なさ過ぎる別れ際。
日和に背を向け歩き出すとカツカツと足音がついてくる。


「家こっちなの?」


「そう、職場がこの辺なの。遥斗は?」


「家はそこのショッピングモールの側。でも彼女のバイト先に行くから駅に」


「ふーん・・・なら駅まで一緒に行こうよ」


昔みたいにグイグイ腕を引かれすっかり日和のペースだ。


「駅までなら…」


ーー同じ方向なら仕方ない。
さりげなくその手から離れ昔より距離を取って駅に向かった。





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