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限界Lovers
第24章 雲行き
「一緒に住んでる彼氏が居るんだろ?…大事にしてやれよ」


「穏やかで優しくて私には勿体ないけど刺激がないんだもん」


開いた口が塞がらないとはこの事だろうか。
今日一日で日和の印象は大分変わった。
いや、気づいただけかもしれない。


「最低だな…」


だんだん怒りが込み上げる。
こんな女に惚れていた自分が情けなくさえ思えてきた。


昔の辛い気持ちも蘇り胸の中が渦巻く。



「結局日和は自分の事しか考えてないんだよ」


「…自分の事一番に考えちゃ悪い?」


「周りを引っ掻き回してまで自分の事だけってのはおかしいだろ」


「自分の大事なもの守って何が悪いの?…人間の素直な欲求じゃない」


最低だ。
どこまでも最低だ。


日和には他者への気遣いというものがないのか。
……おかしいだろ、こいつの考え方。


「遥斗のエッチ好きなんだ。すっごく気持ち良かった・・・私が色々教えたから余計にね。別れてからも時々思い出してシてたよ」


「またそこか!」


「だって遥斗一生懸命してくれたじゃない?あんな風に私のためにしてくれた人遥斗以外居なかったし・・・だから今の遥斗がどんなエッチするのか興味もあるの」


「…猿かお前は…知りたいなら彼女に聞けば?」


「じゃあ彼女に会わせてよ」


「嫌だ!絶対!!」


どんどん言葉がキツくなり、苛立ちも大きくなる。
そんな俺を楽しむように日和は続けた。


「だって遥斗を育てたのは私だもん。その後どうなったのか気にならない方がおかしいでしょ?」


「…馬鹿じゃねーの」


「私にしてたみたいに彼女にもしてあげてる?」


「気持ち悪りぃ…」



早くこいつと別れたかった。
そしてもう一生会いたくなんてない。
苛々する時間は果てしなく長く感じてやっと駅につく。


「じゃあ、私こっちだから」


「そう、じゃあ」


「またね遥斗」


「………」


顔も見ずに挨拶もそこそこ日和から離れる。



「またね!」


背中に大きく声が掛かった。
でも俺が振り向くことはなく、人波に乗って日和から逃げた。







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