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限界Lovers
第26章 決戦は金曜日
「娘とは別れてからも会ってて“オトウサン”してるんだ。・・・それはいいんだけどある日ね、帰ったら女の子が玄関の前に居るのよ。すぐに彼の子だって分かった・・・目元がそっくりなんだもん」


「・・・・・・」


「でね、“オトウサンは帰りが遅いから上がって待ってる?”って聞いたの。そしたらお父さんに用があるんじゃないんだって・・・私に話があるんだって・・・」


煙草を手に持ちクスクス笑うも目の奥には悲しみが浮かんでいる。
こんな日和は初めて見た。


彼女も大人になったのか、それだけ彼の事が好きなのか。
ラーメン屋で会った時に彼の事を話す穏やかな顔をふと思い出す。


・・・きっと後者なのだろう。


「それで言われちゃった。お父さんを取らないでって・・・さすがに小学生に言わると堪えるね」


「日和でもそんな風に思うんだな」


「失礼ね、私だって血が通った人間だからね・・・そう思ったりするんだよ。あの子にとって父親は彼一人だけど男は沢山いるじゃん?・・・なんかね、考えちゃうよね・・・」



「俺お前の人間らしいとこ初めて見たわ」


真面目に感心して一応褒めたつもりだった。
でもムッとした顔をされ・・・


「とことん失礼ね、私だってあんな遥斗は初めて見た」


「あんな?」


「あの彼女。どうしちゃったの?随分丸くなっちゃったじゃない遥斗」


「・・・みなみといるとどうも毒気を抜かれるんだよな」


「へぇ・・・昔は肉食全開だったのに随分守りに入っちゃったんだなって寂しくなっちゃった」


「・・・そんな変わってないだろ?」


「全然違うってー」


小さくなった煙草を揉み消しながら日和はクスクス笑った。
昔も含めて初めて日和と向き合った気がした。


「ねぇ、退屈じゃないの?ああいうタイプって」


「いや、むしろ面白いよ」


「へぇ・・・どこが好き?」


「は?」


「あの子のどこがそんなにいいの?遥斗の好みじゃないじゃん?」


突然そんなこと聞かれたら・・・


「何照れてるの?いいじゃん教えてよ」


「そんなの沢山ありすぎて・・・」


「例えば?」


「例えば・・・?全部だよ全部」


「ザックリしすぎ」


「・・・・・・」


「警戒してる?」


「してる!・・・つーか俺の事はいいんだよ!早くその彼のとこ戻れよ」


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