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限界Lovers
第28章 Difficult problem
一ノ瀬さんが悩んでいるのはよーく分かってた。
元気がない彼女を「大丈夫」と励ましてあげた時、「どうして言い切れるんだ」と彼女はキレた。


・・・だって言い切れるでしょ?







「・・・また来てますよ」


羽田さんが愚弟を見つけ訝しい顔をする。


「最近怖い事件も多いから気をつけさせた方がいいと思う。・・・ただでさえ一ノ瀬さん泣いてたもの」


「ですよね?私は最初から怪しいって思ってたんです・・・だって彼、明らかにみなみちゃんに会いたいがためだけににウチに通ってたし。みなみちゃんのレジしか並ばないし」


「ふーん」


「ああいう中途半端にモテそうなのが一番質が悪いんでしょうね・・・またみなみちゃんもどっか抜けてるから」


それからも羽田さんは愚弟をボロクソにこき下ろし・・・


「・・・ちょっと言い過ぎじゃない?」


「いいんですよ!ストーカーなんて絶対許せない!」


随分とご立腹だ。


遥斗をストーカーに仕立て上げたのは私だけど血を分けた弟を赤の他人にここまで言われるのもね。
胸の端っこが痛むというか・・・


本当に姉なんて損なもんです。


「この間もみなみちゃんのことしつこく聞いてくるから辞めたって言ってやって」


「あらら・・・へぇ・・・で?」


「なんかショック受けてたけど懲りないですね。毎日来るなんて」







・・・・そう、遥斗は一ノ瀬さんに会うために毎日ここに来ている。
バカの一つ覚えみたいだなって可哀想になるけど・・・でもね、やっぱりあの女だけは許せないと思うのよ。


お遊びにしてもあの女だけはダメ。生理的に無理。


だから遥斗にはお仕置きで大事な「みなみちゃん」を隠してやった。
人の痛みを知りなさい・・・遥斗。
私の頭の中には昔遥斗とビデオで見た昔話の鬼子母神が浮かんでいた。


言ってみれば私はお釈迦様みたいなものなんじゃないだろうか。
愚弟を真人間に更生させるために心を鬼にするなんて・・・


「私っていいお姉ちゃん・・・」



ホラ遥斗、みなみちゃんを返して欲しけりゃ早く心を改めなさい!







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